桜の花が芽吹く季節となりました。
思いがけない春一番の来訪で
机の上の写真立てが倒れました。

まばたきひとつできない紙切れの中
僕らは永遠を手に入れ笑っていました。
現実ではこんなにも泣いているというのに。

拝啓、愛しき人へ。
君は今 どこにいますか?
僕は相変わらず動けそうにありません。
あれから 三度目の春。
君をまた 思い返して
一人蕾のまま 花たちを愛でています。


真っ青な空に飛行機雲が映えますね。
ふと思い立って お散歩にでも行きましょう。
行き先はほら 僕と君とが出会った場所。

桜のアーチの下で笑う人たち。
ひっそりといつかの僕たちを重ね合わせる。
ああどうして 隣には君がいないのでしょうか。

拝啓、愛しき人へ。
君は今 誰といますか?
僕は相変わらずペアリングをつけてます。
ふたたび君に逢えたら
左手の薬指だけ
君から見えぬよう 隠そうと思っています。


桜が散ってなお この想いは枯れずに
季節を 時を 全てを越え待っているのです。
芽吹くときを いつかまた芽吹き咲き誇る日を…

拝啓、愛しき人へ。
僕は今 約束します。
土にこの手紙を埋めたあとは泣かないと。
あれから 三度目の春。
君のこと 忘れられません。
一人蕾のまま 逢える日を夢見てます。





          08.04.05
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